「パンズ・ラビリンス」

パンズ・ラビリンス」観に行ってきました!
公式はこちら → http://www.panslabyrinth.jp/


スペイン映画でファンタジー?!
なんとも奇妙な取り合わせの作品ですが、なかなか評判も良いみたいなので
試しに観に行ってきたワケですが・・・


まずこれ、ファンタジーはファンタジーでも「ハリポタ」とかみたいな、
ちびっこでも楽しめる種類のファンタジーではありません。例えるならグリム童話系?
かなりダークで皮肉の効いた“黒い”ファンタジーですよ。


そもそも舞台設定が1944年。フランコ独裁政権がスペインを支配していた時代。
圧制に苦しむ人々はゲリラ化して、政府軍と血みどろの闘争を続けている。
そして主人公の少女・オフィーリアは、母親が政府の軍人と再婚したために、
新しい父のいる山奥の最前線基地へやってくる・・・という設定です。


めちゃめちゃ政治的な背景あるし、残虐なシーンもあるしで、全く以って
ちびっこにはオススメできません。


ただし、そのような極めて現実的な設定のおかげで、ファンタジー部分の
立ち位置が明確なんですよ。つまり・・・
映画の中のファンタジーが現実か?否か?ってトコが。
もう見事なくらいに、どちらにでも解釈できるようになってます。
監督があえてそうしているのは明白。観客はどちらでも好きな方で納得できるんですよ。
このへんの作りにはもう感服させられました。上手いなあ!そしてフェアだ!!


アカデミーの美術賞をとったという美術も、ヴィヴィッドでグロくて繊細で美しい!!
ヨーロッパの中でも、あまり恵まれない歴史を辿ってきたスペインという国ならではの
日本人には馴染みのないファンタジー世界を精緻に表現してくれてます!素晴らしい!!


ただしね〜、この映画を好きかどうか?って聞かれたら・・・答えはNoです。


脚本、演出、構成、美術、等々・・・極めてよく出来てる作品ではあるのですが、
私・・・この主人公(と母ちゃん)が好きになれません。
っつーかハッキリと嫌いです。そりゃもう壊滅的なまでに。


それは何故か?
詳しいことは未見の方のために伏せておきますが、ストーリーの大まかな構成は・・・
主人公が人ならざるモノから崇高な使命を受けて、それを成就するために冒険し、
最後に念願が叶う・・・と、まあ、こうゆういかにもファンタジーの王道的
ストーリーなわけです。


ところが・・・主人公のオフィーリア、めちゃめちゃ大切な使命を受けたにも
関わらず、意志薄弱だし、つまんない失敗するし、・・・とにかく、自分が受けた
使命の重要性を正しく理解しているとは到底思えないんですよ。


食べちゃいけないと固く忠告されていた果物を「ちょっとくらいいいんじゃない」
ってカンジで食べちゃってあわや怪物に殺されそうになったり、で、その彼女を
助けようとして仲間の妖精が犠牲になって怪物に食い殺されちゃったり・・・
で、オフィーリアはびーびー泣くばっかで、クソの役にもたたない・・・


お前それでも主人公かっ!!(激怒)


いや、リアルで子供があんな状況になったら、ああなるんだろうとは思うんですよ?
でもね?これはフィクションなんですよ!物語なの!!エンターテインメントなのっ!!!


最後に素敵なハッピーエンドが用意されてるならね、主人公はそのご褒美に見合うだけの
活躍をしなきゃいけないんですよ。ラストにちょっとした仕掛けもあるんですが、それも
別にオフィーリアの強固な意志から出た行動というよりは、たまたま偶然ラッキーが
重なっただけだしさ〜


にも関わらず、最後はハッピーエンドでめでたしめでたしなんですよ。
オフィーリアはとてつもないご褒美をもらって幸せに暮らしましたとさ・・・って
なんだそりゃ?納得いかんっっ!!!