「Ecole」

ルシール・アザリロビック・監督の「Ecole」を観にいってきました。

<公式HP>http://ecole-movie.jp/


舞台は深い深い森の奥にある全寮制の学校(仏語だとエコール)。
緑豊かな森、静かな湖、レトロな校舎と学生寮、蔦草に覆われた高い壁で
四方を囲まれ、外界から隔絶された世界。


少女達は棺に入れられて、石畳の地下道から連れて来られ、
12歳になるまでの6年間をここで過ごす。
少女達の他には、若い女性教師が二人と年老いた女使用人達がいるだけ。
そしてまた・・・この学校に、一人の少女・イリスがやってくる。


まだ母親が恋しいであろう幼い年齢(7歳)で突然連れて来られるのは、
男性を完全に排除した、少女だけの濃密な世界。授業は生物とダンスだけ。
残りの時間を、少女達は森の中で遊んだり、湖で泳いだりして過ごす。
まるでユートピアのような世界だ。しかし・・・


そんな世界に馴染めずに脱走を企てる少女。森の中のお葬式。選抜試験。
最終学年(12歳)の少女は、毎晩9時になると、森のどこかにある劇場で、
顔の見えない観客達の前でダンスを披露しなければならない。


思春期の少女達の不安定な心を閉じ込めて存在するこの学校は、
果たしてユートピアか?それとも歪なディストピアか?!


素晴らしい!こんな美しい映画観たの、ホント久し振りだよ!!


美しいロケーション!レトロなセット!細部まで凝った美術!!
BGMはほとんど無く、自然の音が詩情豊かに劇場内に響き渡る!!
セリフや説明は極限まで廃され、美しくも不穏なイメージがちりばめられる!!


こりゃ!スゴい!!これこそ私が求める"映画"です。マジで大・絶・賛!ですよっ!!
最初にこの映画のことを知った時にはかなり不安な気持ちでいっぱいだったんですが、
ここまで傑作だとは・・・嬉しい誤算です。


個人的には、金子修介・監督「1999年の夏休み」や、ピーター・ウイアー
監督「ピクニック・アット・ハンギングロック」級の衝撃でした。っつか、
ここに挙げた映画は皆テイストが似てるな。どれも設定が全寮制の学校だし、
明確な物語の起承転結があるというより極めてイメージ的。


ま、要するに好きなんですよね、こうゆうのが(笑)


ただね〜、ラストはあそこまで描かなくてもいいんじゃない?と思った。
あの場に到着した所までで充分でしょ。ラストシーンのアレなんて、
まさにアレの隠喩だよなあ?かなり抑制を効かせているから、決して
下品ではないけど(すれすれだけど)、やっぱりフランス人だな〜。
どうしてもアレをオチにしないと気がすまないんですかねえ??